そう。


欲しかったのは、思わず零れ出たような褒め言葉で。


自然と出てきた本音……というもの。



ああ、きっとあたしは我侭すぎるんだな。


元々煌だって褒め言葉には言うのも聞くのも滅法弱いタイプだし、桜ちゃんが自分からあたしに感想を言うわけもなく、櫂だってフェミニストでもない。


いつも落ち着き払って、感情を滅多に露にしない奴だし。



――芹霞ちゃん、だあい好き!!



昔は直ぐに何を考えているか判ったんだけれどね。


今は本当に仏頂面だから。


言葉を期待する方が無理なことだったのかな。



諦観に溜息をついた時、突然会場が暗くなり、現れたのは少女で。



――薄倖の美少女、か。



「!!!」



"美少女"!!



櫂が美しいと認めた!!



櫂が思わず声を漏らした!!



今まで、女と見れば完璧無視、完璧素通り、おまけに侮蔑の冷たい目しか向けなかった櫂が!!


『女嫌い』は『男好き』の裏返し……とまで噂される櫂の将来を、本気で心配していた程だったのに!!!


その憂いある切れ長の目は少女を見つめていて。



確かに可愛い。


確かに美しい。


今時珍しいお嬢様風美少女。


男ならぽっとなるのは判る。


あたしが男でもぽっとなる。



だけどね!!!


そこまで差別することないじゃない!!!


なんであっちばかり反応すんの!!!