「だああああ!!! やってられねえ!!!!」
そう橙色の少年が叫んだ時。
「うるさい、黙れ馬鹿犬!!!!」
少女が怒鳴った。
「邪魔する気なら絶交するよ!!?」
途端、橙色の少年は大人しくなった。
「完全手懐けてるよね…芹霞。まあ…留年かかっているからね」
白皙の青年は苦笑した。
「玲くん。あたしのテストによって、玲くんとの"お試し"の復活出来るか、かかっているんだよ? 櫂から聞いてるでしょ!!?」
「ええええ? 復活!!? 何それ。僕そんなの聞いて…」
「言ってない」
慌てた鳶色の瞳が向けた先。
ぶすっと面白くなさそうに漆黒の少年は答えた。
「だって何にも楽しいことしてないじゃん、玲くんと。"お試し"っても何も"お試し"してないし。最後の日だって、玲くんに話しかけようとしたら、皆して邪魔してさ、終わっちゃったじゃない、何もしないで!!!」
憤った少女は、漆黒の瞳と褐色の瞳を睨み付けた。
2人協力して、"さりげなく"終わらせようとした"お試し"が、少女にとってはあからさま過ぎて、逆効果になってしまったらしい。
――1日の"おでかけ"くらい何よケチ!!! そこまで邪魔するんだったらね、意地でも復活してやる、玲くんとの"お試し3日間!!
少女の頑固すぎる"意地"を思い知った漆黒の少年は、無理難題を焚きつけて諦めさせようとした。
"休み後のテストで9割とれたら考えてもいい"
テストなど、本来予定されていたものでもなく。
尚も"考えていい"だけの範疇で。
しかし諦める処か、俄然やる気を出してしまった少女。留年問題など、少年の力でどうとでもなるのに、それに結びつけて更に我武者羅だ。
「あたしはね、やれば出来る子なんだから。絶対9割とってやる」
その決意に、白皙の青年は嬉しさを隠せない。
いつかはこっそり、"最終日"を目論んでいた青年にとっては、3日間も猶予が出来たことは幸せで堪らない。