「帰ろうぜ芹霞」


煌。


目に鮮やかな橙色の幼馴染。


あんたの笑い顔、大好きだよ。


判ってるよ。


あんた、不器用だけど昔から判りやすいもの。


その褐色の瞳見たら――

笑ってないものね。


凄く必死に、引き留めてくれてるんだね。


本当に馬鹿で変態で思わず手が出るけれど、それでもあたしにとって…そういう素を見せられるのは煌だけなんだ。


いつも卑屈で、美的感覚おかしいけれど。

涙もろくて、あたし…泣かせてばかりいたような気もしたけれど。

あたしが櫂のことで泣いてた時、傍にいてくれたのは…煌だったね。


一緒に泣いてくれたよね。



ありがとう。


煌の優しさで、あたしは救われたんだ。



あんたは格好良い男だよ。

頼り甲斐ある男だよ。


あたしが保証するから。


その橙色、綺麗で大好きだよ。


あたしが居なくても…自信持って櫂の護衛をするんだよ?


「ごめん、煌」


あたしは、煌の手を取ることは出来ない