「………? 幻影だとでも?」
「幻影など意味はない。
俺が言っているのは――
白皇、驕りすぎたお前の負けだということ」
すると、白皇の目が細められる。
「負け? この状況で?
そんなに私に相手して貰いたいと?」
言外に――
俺より実力は格段に上だと述べている。
だとすればこの神父達は、余興のようなものか。
恐らくは参加者達を悦ばす為に。
俺はまだまだ弱すぎる。
それは認めざるを得ない。
だけど、未来の姿は誰にも判らない。
8年前――
あの姿を変えた俺であれば、未来を諦めたくないんだ。
諦め悪い俺。
負けず嫌いな俺。
どこまでも子供じみているかもしれないが。
だからこそ、今の俺がある。
誰にも、一秒先の未来は判らない。
どんな策を練っていても、必ず予測できない事態というものは発生するから。
だけど。
そのこと自体、見越せずに策に溺れるというのなら。
そこで、お前は俺に負けているんだ、白皇。
「自惚れるな、白皇。
上には上がいる」
「笑止。ならば紫堂様は、私に勝ると!!?」
俺は嘲った。
「誰が俺だと…?」
俺は1人じゃない。
必ず――
「じゃあ誰…
――…な!!?」
信じていれば報われる。
懸命になれば救われる。
「久しいな、シロ」
俺の、俺達の鮮烈な緋色は。
決して俺達を見捨てない。

