身構えた俺達に、白皇は笑った。
「ベタすぎる状況で申し訳ございませんが、動かれれば…芹霞さんの頭を粉砕します。それが嫌なら、まず…お持ちの武器は捨て、石をこちらに寄越しなさい」
舌打ちの声。
煌と桜が太陽石と黒曜石を白皇に放った。
「紫堂様と玲様は、まだ紫堂の力がご回復されていないご様子。ならば皆様肉弾戦ということですが…久遠様はどうされます?」
久遠は何も答えない。
「特別待遇は出来ませぬ。まあ…彼らの同士討ちの最中、ご参加されてもよろしいですので、ご決心を」
「どうしてこんな酷いこと!!!」
芹霞が、白皇の腕の中で戦慄(わなな)いた。
「これは心外。そうした起因を作ったのは、貴女なのに」
「!!!」
「貴女は最後の"1人"が決まるまで、私と共に居て貰います。そしてその者との一騎打ちをして貰いましょう。ふふふ、賭け金は"大穴"で跳ね上がるか否か。ははははは」
そして意地悪い笑みを顔に浮かべて。
「今貴女は、2つの記憶が鮮明にあるはずだ。
どなたの生き残りを願っておられます?」
久遠か、俺達か。
「さ、さっきも言ったでしょう?
あたしは「芹霞」
俺は芹霞の言葉を遮る。
「心配するな」
そう笑いかければ、芹霞は唇を噛んで俺から顔を背ける。
俺を真っ直ぐ見ようとしない今の芹霞に、
――はじめまして。
尚も心は痛むけれど。
「"俺達"は白皇如きに負けることはない」
