そんな俺を脅すというのなら、
「出来るものなら存分に? ただ――その余力があればですが」
目に物を言わせてやる。
俺をなめるんじゃない。
横では煌が玲と小さい声で話している。
「玲、そう言えば…緋狭姉も言ってたよな、俺達が死に目にあったのも"ゲーム"って。服についてた生体反応がなんちゃらっていうのも…この"ゲーム"アイテム?」
「多分ね。誰が生きて誰が死んでいるかが、きっとここの画面に映し出されたんだろうね。元々死んでる各務の人達は生体反応なんてないだろうから、生き残る結果さえ得られればいいこの"ゲーム"において、ちょっとした番狂わせの…スパイスなんだろう。まあ今では、僕達がこの服を着て生体反応が不明だから…やきもきして、白皇使って塔に呼んだんだろうね。それで直接間近で見ようとしたんだろう、僕たちの死ぬ様を」
恐らく。
白皇にとっては、誰が生き残ろうとどうでもよかったことで。
それによって動く大金を手に入れたかっただけで。
「鬼畜の番犬に成り下がったか、白皇」
俺がそう言うと、白皇は笑う。
「それは心外な。私は私に与えられた役目を遂行しているだけで。遂行しないといけない事情があるものでしてな」
彼の目的が参加者達に届いて居るのかは判らない。
だけど。
白皇が構築した"彼女"の完全なる蘇生。
その"狂愛"に、これ以上の巻き添えはごめんだ。
「お前の事情など俺達が知るか。そんな下らぬゲームとやらに、付き合う義務も義理もない」
そう毅然と言い放った俺に、複数の笑い声。
そして、それは一瞬の出来事で。
突如白皇から放たれた目映すぎる光が、視界に鮮烈に拡がり、思わず誰もが目を覆ったその僅かな隙に。
「芹霞!!?」
芹霞の姿が、白皇の腕の中にあった。

