須臾の身体は傾き――


神楽から落ちる。



落ちる。


落ちる。



どすん。



地に沈んだ音と、歓声が耳に届く。



引き続いて、久遠は――



「駄目、駄目!!! 久遠!!!」


芹霞の悲鳴をBGMに、各務樒を突き飛ばした。


落ちる。



次は各務千歳。


落ちる。



次は各務柾。



落ちる、落ちていく――。



芹霞が泣いて縋って、老人に手を伸ばした久遠を制する。



「久遠、判っているでしょう!!?


やめて、刹那の肉体を壊さないで!!!」



刹那の肉体!!?



どこからどうみてもその老人は――


ああ、彼も早老症であったのか。


それとも、力の放出により身体が頽廃したのか。


多分彼こそ、櫂が地下室で見たという老人で。


早老症の樒が愛したという、各務刹那で。


そして芹霞と永遠を約束した――



「いやあああああ!!!」



老人は…刹那の肉体は、神楽の外に落ちた。