――その時。
しゃん、と鈴の音が響いた。
「成程。手に入らないとならば、相手を殺そうとする。貴方もまた…狂いのお仲間でしたな」
しゃん、しゃん、
澱んだ空気には、およそ不釣合いな玲瓏な鈴の音。
「いいんですよ、お狂いなさい?
狂って狂って、誰も彼をも殺したくなる衝動をお強め下さい!!!」
突如煌く、白い光。
それは八方に広がって。
あまりの眩さに、僕は芹霞を身体で庇うようにしながら、目を細め。
しゃん、しゃん、
光の中、何かと何かがぶつかる音がして、顔を向ければ。
櫂が、僕達を庇うようにして立ち、腕で白皇の攻撃を弾いていて。
「玲、芹霞を守れ!!!」
櫂の声が飛んだ。
「ほほう? 恋敵に託しますか? いいんですか、取られますよ?」
それはまるで、僕達の仲を裂くように。
「取られたら、取り返すまで」
挑発的な言葉を、櫂は悠然と受けて。
ああ。
櫂は諦めていない。

