僕から発せられた気の力は――



「櫂!!?」



櫂から発せられた、同じく外気功で軌道をそらされた。


それは、真紅の…狂いの色に吸い込まれて消えていく。


一瞬。


壁の真紅色が、狂喜に更に色付いた気がした。



「玲、言っただろう。

俺はお前を狂わせない!!!

壊しはしない!!!」



僕が慕う従弟は、そう悠然と言い放ち。



「久遠を殺しても何も解決しない!!!

玲、俺を信じろ!!!」



僕から――



「最後まで、俺を信じ続けろ!!!」




一筋の涙が零れる。



ああ、櫂。


お前はやはりお前で。


昔と変わらず、お前が僕を見捨てないというのなら。


いつもの通り、僕に手を差し伸べてくれるというのなら。



「信じたい……」



頼むから。


本当に頼むから!!!



「櫂!!! 芹霞の心を変えてくれよ!!!

僕に何処までも信じさせてくれよ!!!」



渡さないでくれ。


芹霞を取り戻してくれよ!!!