だから俺は――
「玲、お前の中の俺の血が、お前を狂わせない。
もし"そういう"事態になったとしても、俺が全力で止めてやる。戻してやる。
だから安心しろ。
俺は――
お前を見捨てないぞ、壊さない。絶対に」
優しい従兄が闇に沈むというのなら、
俺がそこから引き摺り出してやる。
須臾から、身を張って俺を取り戻してくれたように、俺だってお前の為にそれくらいしてやりたい。
第一、お前を追い込んだのは、
――お願いです、父上!! 僕を次期当主に!!
俺のせいなのだから。
だけどその責任というわけではなく。
上下関係だからと言うわけではなく。
ああ、もう判るだろう、玲。
俺達は付き合いが長いんだ。
「お前を救えるのは、芹霞だけじゃない」
例え、お前が真性の気狂いであったとしても。
「お前には、俺だって必要なんだろう?」
俺にはお前が必要なんだ。
俺は笑った。
すると端麗な顔は――
「随分と…凄い自信だね?」
泣きそうな…崩した表情で微笑を作っていた。
俺は白皇に向き直る。
「13年前に、準備が整ったんだな?
"彼女"を蘇生させる…」
白皇は哄笑しながら、
「ええ。
丁度その頃ですね。
芹霞さん。貴女がお姉様と各務の家に来られたのは」
びくん、と芹霞が反応した。