あひるの仔に天使の羽根を

 

ひたすらまっすぐに進んできたが、やがて道が遮られた。


「行き止まり、か」


櫂がその行き止まり部分に火を近づけると、それは巨大な石のようで。


何か大きな模様が彫ってある。


「!!」


それを見た櫂が、突如険しい顔つきになった。


そして徐(おもむろ)に大きく照明を振り、塞いでいるものの正体を確認しているようだ。


「どうした、櫂?」


「これは……」


「どうするの、旭くん?」


櫂の声に重なるようにして響いた芹霞の声。


「大丈夫。開きますから」


「あれ、こっち側に横道があるよッ!!」


由香ちゃんの声。


「もうすぐ……ああ、来ましたね、月達が」


その声の通り、月が先頭に煌と桜が続いて現れ、僕達は合流出来た。


煌はひたすら僕と櫂に謝り、ちらりと芹霞の様子を窺うと、芹霞は煌にあかんべをした。


つまり、もう仲直りしたらしい。


僕は芹霞と喧嘩はしたくないけれど、こういうやりとりは羨ましく思う。


煌は良い処も悪い処も全て芹霞にさらけ出しているから。


その上で芹霞は煌の傍に居るから。


煌の全てを芹霞は受容している。