「由香ちゃん…どう?」


「こっちはOKだよ、師匠。方向はばっちり全てLOCK ON状態。師匠のおかげで安定してカウントダウンに入っている」



気づけば遠坂由香がパソコンを開いていて。



「そういえば玲、身体は本当に大丈夫なのか?」


「あははは。今更何だよ、思い出したように」


紫堂の従兄弟は"何か"を待っている。


私は彼らを回り込むように走りながら、櫂様と玲様を邪魔しようとする輩の一掃に奔る。


私には闘うしか取り柄がないけれど。


せめて今までの戦闘技術が、皆の役に立てられるのなら、素直に嬉しいと思う。


私も皆と一緒に戦えるのが喜ばしい。


だけどふと思う。


魔方陣は、紫堂に連なる者には破壊出来ない。


櫂様と玲様はどうしようとしているのだろう。


そして煌は――?


その時。



「よし、時は満ちた!!!」



玲様の声が響くと同時、


櫂様と玲様は、煌の…ブレスレットに触れて。



「煌…頼むぞ!!!」



両者の力強い声が響いた時、嬉しそうに…そして深い集中故に翳った顔に変えた煌が、

突如赤く――発光した。