あひるの仔に天使の羽根を



そして僕は我に返る。


会話の筋が……ずれていたか。


これでは変態と思われてしまう。


「冗談だよ。僕はどんなものでもいいよ、芹霞のものならね」


にっこりと微笑む。


「どんなものでも

……そそられるよ?


どんな挑発でも、

簡単に乗ってあげる。


だから――おいで?」


両手を広げると、真っ赤な顔をした芹霞が、そのままふわりとこちらへ傾いた。


……のを止めたのは櫂で。


「玲。所構わず、色気を振りまくな」


「師匠フェロモン垂れ流しッッ!!!

ボク、百合の世界へ飛びそうだったよッ!!!」


そんなつもりはないけれど。


櫂は機嫌が悪そうに芹霞の頬を抓って正気に戻した。


芹霞は櫂には訊かない。


僕に訊いてきたのはどんな意味があるのか。


特別なのか、特別ではないからなのか。


芹霞の心が見えない。