「櫂、どうするよ!!?」


しかし動かない櫂を思えば、これも想定内か?


そんな時、


「diminitte nobis debita nostra…」


荏原の詠唱が聞こえてきて。


あっちもこっちもどうするよ!?



その時。



「須臾、起きろ!!! 紫堂櫂がせりにとられるぞ!!?」



はあ!!?



久遠が須臾の頬へ向けた破裂音。



「久遠ッッ!!!

何でその女起こす!!? 更に事態は悪くなるだけだろうが!!!」



しかし。


ぱっちりと目を開けた須臾は。


その瞳には憎悪の炎を燃え、顔は般若のように歪んでいて。


醜悪としか言えぬ顔を、虚ろな表情の芹霞に向けて。


そして須臾から、何かの力が放たれた。


「やめろ!!!」


俺達が。


折角俺達が壊した魔方陣。


だけど須臾が力を使えるってことは、唯の徒労なのか。


無意味なことだったのか。


だけど。



「大丈夫だ、煌」


気づけば櫂が隣に居た。