金翅鳥(ガルーダ)は果敢に、強敵に向かっていく。
それは炎と炎、轟音と轟音のぶつかり合いで。
勢いと熱量に…どうにかなっちまうような烈火の闘いで。
同質の闘いならば、必然と――
「よし!!!」
威力のある方が、弱者を食らい尽す。
そう俺の力が、チビ陽斗を凌駕して――
凌駕して…!!?
お、俺が!!?
ふっと我に返れば、火傷にのたうち回る司狼がいて。
「うあああああん」
その泣き声は、痛みなのか悔しさからなのかは判らないけれど、
「負けたあああああ!!!」
悔しいだけかも知れねえけど。
「何が愚鈍なんだよ、嘘つき!!!」
その時。
「成長……したようだな、馬鹿犬」
聞き慣れた艶やかな声がした。
振り返れば赤い外套纏った緋狭姉で。
面白くなさそうな顔をした桜までも居た。

