「くっそおおおおお!!!」
強くなりたい。
好きな奴を守るための力が欲しい!!!
それは渇望。
初めての…力の渇望。
「負けたくねええええ!!!!」
身を反らしてそう咆吼した時。
突然。
それまで重すぎた腕環がすっと軽く感じて。
全ての制約から解かれた…そんな自由さに俺の身体は身軽に動いて。
龍から放たれる炎の速度をいやに遅く感じながら、身を躱すと同時に俺は手にした偃月刀で叩き斬って。
舌打ちしたチビ陽斗の龍が更に勢いを増し、2つの龍になって。
それでも不思議と恐怖はなく。
逆に冷静な俺がいて。
炎龍を静かに見つめる俺は――
「金翅鳥(ガルーダ)!!!」
まるで俺ではないような俺の声に。
今まで姿を見せなかった緋狭姉のペットが腕環から現れて。
金色にも輝いて見える…見事な炎鳥が宙に羽ばたいた。

