『体力に応じて割り振ったのだがな、まさかお前の身体がそこまで鈍(なま)っているとは、私も見抜けなかったようだ。これからはきっちりお前を見ていよう』


「もう十分だろうよ!!! んなことより、緋狭姉…そっちは大丈夫なのかよ!!?」


ぜえぜえしながら走って話す俺に、月の不審気な眼差しが向けられて。


慌てて俺は、口に出すのをやめた。


こんなチビに、こんな目向けられるのはショックだ。


俺の方が大人なんだから。


『ああ、とりあえずは玲から、もうすぐ貧民窟に着くと連絡があった』


貧民窟って何番目だ?


『6番目だ。順序くらい覚えておけといいたい処だが…言うだけ虚しい気分になるな、とりあえずお前は9番目と最後だけの活躍でよい。それだけは覚えておけ。それぐらいなら、お前の頭でも覚えられるはずだ』


………。


まあ、判りやすいのはありがたいけどよ、何かひっかかるよな。


『気にせずともよい。どんなお前でも、お前はお前だ』



本当……ひっかかるよな。



それよか、緋狭姉…玲の所と連絡つけれるのかよ。



『ああ、榊と私は連絡が取れる。無線信号があるからな』



そんな便利なものあったら、早々俺にくれればあんな(ゴニョゴニョ)場面黙って見られずにすんだのに。



『……お前の中には"修業"という二文字がないのか!!!』



やべ。


緋狭姉、キレ始めた。