その時――だった。
「あああああ!!!」
俺の手の中の芹霞が大きく仰け反ったかと思うと、悲鳴を上げたのは。
思わず身体を離して芹霞を見た俺の顔に、生暖かい…鉄の匂いがする飛沫が降り注いで。
「………!?」
それをで掬って…目にした俺は、瞬間的に目を瞠って息を飲む。
真紅色。
2ヶ月前。
――櫂、今までありがとう。
俺の目の前でその色に染まった芹霞が重なる。
8年前。
――芹霞ちゃんを助けてえええ!!
俺の目の前でその色に染まった芹霞が蘇る。
――芹霞ちゃあああん!!
「芹霞ッッ!!?」
芹霞の……喉元から血が噴き出していて。
俺の視界が、記憶が――
真紅色に塗り替えられていく。

