「どうしたの? 皆。ため息なんて。 別におかしな事言ってないじゃん」

そう言ったら、さらにため息。 ドーユーコト?

「久しぶりだね。・・・ルイ」

そこに場違いな声が聞こえた。

 王だ。

何故ここに?! しかも知り合い? え? さらにどういう事?

「アンタ!! 勝手に私の子供誘拐してただで済むと思っているの!!」

アンタ? え、国王にむかって“アンタ”?

「ルイ! 待て、落ち着け!!」

国王もバタバタ、母さんもバタバタ。 
 おいおい。

「落ち着け、涙。 そしてどのようなご用件で?」

父さんが、前に出た。
 視線は鋭い。さっきよりも格段に。

ゾッとした。 父さんはあんまり怒らないから・・・

「会いたかった。 それだけでは駄目なんでしょうか?」
「駄目です。私の妻ですから。・・・もう貴方の許嫁ではないんですよ」

は? 父さんなんて? いや、母さん“妻”で赤くなっている場合じゃないから・・・
 
 同意を求めるように、後ろを見る。

そこには―――――