昔、一人の追放されたルイという女性がいた。 
そのときのこの世界の掟はヒト(魔力を持たないもの)と交わってはいけなかった。
 
 それを犯してしまったために、この世界の出入りを禁じられ、異世界警察ライフォンの管轄から外れている、独自の文化が発達した管理外の異世界に飛ばされた。

 彼女はそこのきびしい指揮官だった。しかし仕事先で出会ったしまった唯の男性と恋に落ち、交わってしまう。

そこで出来た子供が、クーである。

 たとえルイの魔力が強くても、ヒトとの間の子。その力は薄れると思っていた。

しかし生まれてきた子供は、ルイの魔力より何倍も大きかった。
 そこでルイは知る。何故ヒトと交わるのを禁忌としたか。

魔力が大きい子が誕生するからだ。しかも大き過ぎる力のために長くは生きられない。

 だからルイはすべて愛しい夫ソウに話した。長生きは出来ないだろうと。
ソウはそれでも良いと言ってくれた。この子のために出来る事をしようと。

 膨大な魔力を持っているはずの子は問題なく成長した。健全な子と同じ様に、普通に歩き始めた。 ママとも言った。 
 ルイとソウはこの子は“特別な子”か、あれは迷信だと思い育てた。かわいい我が子を。

 そんな“特別な子”を彼らが放っておくはずも無かった。



 
  それは突然やってきた。

クーの2歳の誕生日に誘拐されてしまったのだ。人外な力を使って。ルイの魔力も封じて。

 ルイの故郷へ。 ルイとソウから引き離して。