「“また”って? それは貴方がさっき言おうとしたことに関係あるの?」

まだ幼い子に答えを求める。

「おいっクー」
「黙って」

健人のけん制を無視して

「お願い。教えてくれる?」

男の子は頷いてから、言う

「おじい様とかみんな言ってるの。国王様が今の人になってから、内情が良くなくてそこの春姫様が“来た”とき、花が満開になって、良くなったんだって」

“来た”って言うのが気になるけど、切ってはいけないと思ってただきく。

「国民に無関心な王と違って、優しかったって。桜を違う世界から運んで楽しませてくれたって。でも“事件”があって春姫様はこの国を去った時、桜が咲かなくなったって」

「それと、夢 との関係は?」
「今が、荒れてるから。昔は“夢のように”幸せだったって」

今は、幸せじゃない? こんなにも綺麗なところに住んでいるのに。

「幻のように消えたから、みんな“夢幻の姫君”と呼んでるよ」
「む、むげん?」
「夢を与えて、幻のように消える姫って意味らしいよ」

私はここに“帰ってきた”らしいけど、私は覚えていない、知らない。

 苦しんできた人がいるのに、私は救えないの?

放心状態になった私を見て、健人は慌てながら言う。

「とりあえず、部屋に帰りましょう」

教えてくれた親子にお礼を言って帰った。

 道は覚えてなかった。

“自分のせい”で苦しんでいる人がいると知って、それどころじゃなかった。