町外れにあるレンガ造りの小屋。

 そこが、ガレアの住み家だ。

「告白するならよく晴れた月夜が最適。君の好きな黄色いスカーフをつけて行くといい」

 占いを終えたガレアは言って席を立つと、赤い石をはめ込んだブレスレットを手に取って戻って来た。

「護り石が邪気を祓ってくれる。心配ないよシャーラステア、絆は途切れはしないから」

 穏やかな笑みを浮かべ、ガレアは自分より少し年上の娘に言う。

「ありがとうガレア。でも、あなたもそろそろリングメイトを探す時期よ」

 ブレスレットを受け取りながら、シャーラステアは言う。

 リングメイトとは、魔人の魂を覚醒させるパートナーのことである。覚醒しないままでいると、魔人は身も心も眷族に変わってしまう。

 ガレアの眷族はカラス。早くリングメイトを決めて覚醒しないとカラスになってしまうのだが、ガレアは魂を繋ぐ指輪さえまだ作ろうとしていない。