3年前 4月8日 AM7:53


「おかあさ〜ん!早くしないと入学式間に合わないって!」

桜舞う季節。はらはら舞う花びら。

ユミは中学校の入学式に、急ぐ。

「ちょっと待ってよ!口紅が見つからないのよ。」

近くにある鏡台をガサガサと散らかして


「っ! あった! あ、いやコレ古いやつだ!」
「こないだ新しいの買ったのに〜どこいったのぉ?」
色んな引き出しをもう50回は開けてる。


「〜っぁぁ!いいから!!そのままでも十分美人だってば!」
背中を押しながら玄関へと無理矢理連れていく。

「〜、、、。 」

家の前の桜並木を駆け足で駆け抜ける。



「?」


「本当に間に合わないかもぉ〜。。
ね、かあさん?」

気がつけば母ははるか後ろで桜の木をじっとみつめている。


「、、貴方、どうしたの?迷子になったの?」
母の眼に映る白いクマのぬいぐるみを抱いた少女に話し掛ける。


「、、、。」

少女は俯いたまま何も話そうとはしない。

ふぁっ。

春の風が二人の間を通り抜け

少女の被っていた白い帽子が宙を舞いー

道路へとゆらり ゆらり



旅を始めた。



少女は帽子を追い掛けて、、、。

「あ、あぶないっっ!!」

キィー!‼!!!


白い帽子と共に母が胸に付けていた桜のコサージュも

舞った。