「僕だって血の通った人間だ。笑う事もあるさ。」
部下の前ではそんなに笑った顔を見せていなかったのだろうか。
その言葉に、ロイドが、まぁ聞けって…と続ける。
「何も言わないで笑ってるのは、自分たちが余りにも不甲斐無くて、お怒りになっているんじゃないか…なんて思っているらしいぞ。」
ククッと笑いを堪えながら話すロイド。
しかし、確かにそのような兆候があった。
現に先程から、その部下たちが書類にサインを求めに来るのだが、皆自分の顔を見て小さな悲鳴を上げてそそくさと退室していくのだ。
「お前、普段はスパルタだからな。」
ロイドの言う通り、普段、騎士団を指揮している時の自分は恐れられているらしい。
社交界で使うような甘い笑みなど一切なく、眉間にしわを寄せ、常に厳しい表情をしている。
しかし、それは騎士団を指揮している時だけと決めていた。
王宮の警護や、城下の治安を守る仕事は何かと気を張り詰める仕事でもある。
だから、厳しい態度で接するのはその時だけだと。

