ドタバタと、いつものような、そうでないような朝から数時間後―――
真っ赤な薔薇が植えられている立派な庭。
それに囲まれた白亜の王宮。
ここは、モルト王国の王城だった。
数台の馬車が立派な建物の前で止まる。
先に降りて、手を差し出すラルフ。
次に降りてきたシェイリーンのドレスはと言うと・・・
結局、ラルフが見立てたドレスを着ていた。
そのドレスは襟ぐりが浅く、肌の露出が少ないもので、リエナが選んだものとは対照的なドレスだった。
心なしか、シェイリーンの頬が膨れているのは気のせいだろうか・・・
「シェイリーン・・・まだ怒ってる?」
ラルフは朝からシェイリーンの機嫌を取るのに必死だった。
「・・・・・・。」
ラルフにエスコートされながら無言で、王宮までの道を歩くシェイリーン。
顔も合わせてくれない。

