偽りの結婚(番外編)




シェイリーン様――――


んっ……だれ……?

聞き覚えのある声に名前を呼ばれている。

しかし、体が重くて身動き一つ出来ない。



シェイリーン様――――

優しい声に引かれる様に、瞼をゆっくりと開く。



「モニカ……おはよう。」

呟いた言葉は、掠れていた。



「おはようございます、シェイリーン様。」

ふわりといつもの優しい笑顔を見せ、挨拶をする侍女のモニカ。

体のダルさを感じながらも、起き上がると、モニカが恥ずかしそうに顔を赤らめ、こちらをチラチラ見ている。




「シェイリーン様、あの……。」

いつも、ハキハキものを言うモニカが、珍しく、言いにくそうにこちらを伺う。


「その……見えていらっしゃいます。」

そう言って、首元を指すモニカ。

つられるままに、見て見ると、そこにはいくつもの赤い痕が散っている。