途中何度もうわ言のように、印を付けないでと言われ、そんなに、あのドレスを着て男たちの視線を集めたいのか、などと見当違いの苛立ちを覚えた。
そんな言葉が、自分を煽ることを知らないのだろう。
その後も、ずっとダメだのヤメテと言っていたが、その言葉の数だけ身体に刻み込んだ。
―――結果、コレだ。
シェイリーンの身体には至る所に薔薇の花びらが散らされたように赤い痕が付いている。
昨夜は、男たちに嫉妬するあまり夢中になっていたが、確かにこれはヒドイ。
「せっかく、お母様が選んでくださったのに・・・。」
追い打ちを掛けるようにして、目尻を下げて悲しそうな表情をするシェイリーンに罪悪感が襲う。
「大丈夫、ドレスなら僕が見立ててあげるから。」
そう言って、そっと赤く色づいた痕を撫でるラルフ。
シェイリーンが、ピクリと反応するのが分かった。
「母上には僕から言っておくよ。」
そう言って、リエナに申し訳ないと思っているであろうシェイリーンを安心させるように微笑んだ。
悪役に回ったとしても良い。
他の男たちの目には晒さないし、指一本だって触れさせない。
そんな黒い感情が支配しながらも、清々しいまでの光を放つ朝を迎えた。

