偽りの結婚(番外編)




きっと、あのドレスが着られないことを嘆いているんだろうな・・・


ラルフは、顔を真っ赤にしてキッと見上げてくるシェイリーンを見て思う。

数日前から、リエナやモニカとドレス選びをしていることは知っていた。

本当は自分が選びたかったが、楽しそうなシェイリーンを見て諦めた。



しかし、数日後にシェイリーンが持ってきたドレスに、反対せざるを得ない理由が出来たのだった。

シェイリーンが持ってきたドレスは、胸元が広く開いたドレス。

そんなドレスを着て、公式の場に出すなど、我慢ならない。


自分の手によって開花されたシェイリーンは、最近、益々女の色香を放つようになった。




そのシェイリーンが、胸元が広く開いたドレスを着て舞踏会に出るだと?

母上も本当に余計なことをしてくれる・・・

シェイリーンは、惚れた欲目じゃなくとも、綺麗だ。

ソフィアのように華やかさはないが、そう、まるで月を思わせるような美しさと儚さを兼ね備えている。

不思議と男たちの視線を集めるシェイリーンが、胸元が広く開いたドレスを着れば、男たちの視線を更に集めてしまうのは目に見えている。




だからこそ、シェイリーンの身体に所有の印を濃く刻み込んだ。

薄く消えかかりそうな所から、染みひとつない白い肌まで丹念に。