偽りの結婚(番外編)




帰りの馬車の中――――


「ラルフ、今日は私の我儘を聞いてくれてありがとう。」

馬車の中、隣に座っているシェイリーンが言う。



「いや。足は大丈夫か?」

あんなにもステップの難しい曲だ。

足にかかる負担は大きいはず。



しかし、シェイリーンはニッコリと笑い―――

「ラルフが上手くリードしてくれたから、あまり痛くなかったわ。やっぱり、貴方ってダンスが上手いのね。」

「それは違う。」

ラルフが珍しく、シェイリーンの言葉を否定する。

勢いよく否定されたことに、驚きながらも、疑問符を浮かべるシェイリーン。

呆気にとられて見つめる顔が可笑しくて、思わず真剣な顔つきから、ふっと笑顔がこぼれた。

そして、シェイリーン頭に手を置き、優しく微笑む。



「僕のリードではなく、君が上手かったんだ。よく練習したね。」

その言葉に、一瞬驚いたように目を見張り、次の瞬間には目を細めるシェイリーン。