偽りの結婚(番外編)




「私は、是非そちらのご婦人と一曲踊っていただきたいのですが?」

初老の男性の隣にいる女性を向いて、微笑む。

すると、「まぁ・・・」などと頬を赤らめながら、その婦人は娘を差し置いて乗り気だ。

終いには「私なんかで良ければ」と、素直に手を取ってくれた。



これで、問題ないだろう。



流石に社交界慣れしているだけあって、ラルフは見事にカバーしてのけたのだった。

それよりも・・・気になるのはシェイリーンだ。

彼女はこう言った場に慣れていない。

誘われれば、「これも人脈作りのため」だと自分に言い聞かせ、申し出を受け入れるだろう。




そう思って、婦人をエスコートしながら、ちらりとダンスフロアを見れば・・・


やっぱり・・・


そこには、男のリードに必死について行こうとするシェイリーンがいた。

見れば、踊っていたのは隣に座っていた男ではないか。





どす黒い嫉妬の感情で支配されていると・・・