偽りの結婚(番外編)




「母様を助けなきゃ!」


レナのその言葉に身体が動いた。

カーテンの中を抜け出して、ガラス扉のノブに手をかける。




そして、思いっきり押そうとするけど…



ガチャッ…ガチャッ…―――――

ノブの音がするだけで一向に扉は開かない。




「レオ、どうしたの?」

「扉が開かないんだ…」

何かに突っかかったようにびくともしない扉。

焦るばかりでどうにもならない状況に焦燥感が募る。




「母様ッ!」


レナが叫ぶ。

ふと視線を上げると、距離を詰めた男が母様の腕を掴んでいた。



ドンッドンッ…と扉を叩くも、厚いガラスは音を吸収する。

聞こえているはずなのに、まるであざ笑うかのように無視する男。





どうしよう…母様が……




と思ったその時―――――



「レナ、レオ、下がりなさい」


スッと割って入った大きな手。

涙目の僕たちが見上げた先には、父様がいた。