偽りの結婚(番外編)




この女は僕たちのことを気にかけているんじゃない。

僕たちに愛想を振りまいて株を上げたいんだ。

僕たちと仲良くなれば父様に近づける。

女たちはみんな父様と仲良くなりたいんだ…ってモニカが言っていた。




そんなことしても無駄なのに。

あの母様大好き人間が他の女なんて見るわけがない。





「レオ…」


小さく僕を呼ぶレナの声に我に返る。

レナらしくない小さな声にピンッと背中を張る。





「僕たち料理を取りに行くところなんです。またの機会がありましたらお声かけください」


父様並みの偽スマイルでニコッと笑えば、自分が特別視されたと勘違いした女が上機嫌で帰っていく。





「なんだか怖かったね」


やっと僕の背から横に並んだレナがそう言う。





「大丈夫、レナは僕が守ってあげるよ」

「ありがとう、レオ!大好き!」


そう言ってレナが抱き着いてくる。





「はいはい。ほら、早くいかないとレナの好きなものなくなっちゃくよ?」


そんな意地悪を言えば、相当焦ったのかレナが「だめ!早く行こう!」と言って僕の手を引っ張って走る。

いつもの構図だった。

その様子にクスッと偽りのない笑みが零れる。

レナみたいに純粋な女の子ばかりならいいのにね。