偽りの結婚(番外編)




頭の中の考えに、気を取られていたその時―――


「っ・・・!」

ズキッと、右足に激痛が走る。

隣のペアと接近した時にバランスを崩し、足を捻ってしまった。



もう少しの我慢だわ・・・

一曲が終わるまでの数分間はとても長く感じたが、足の痛みを我慢してやり過ごした。

曲が終わり、ほっとしていると、男が口を開く。


「ダンスが苦手だと言うのは本当だったんですね?」

ふっと、男が笑えば、シェイリーンは恥ずかしさで顔を真っ赤にする。

周囲の令嬢たちも、ラルフの妃である格好の獲物を前に、クスクスと嘲笑う様に成り行きを見守っていた。



「最初に申し上げたはずです。ダンスは、苦手だと。」

自分の事を言われるのはいい。

けれど、妃がいつまでたってもこのようでは、夫であるラルフに迷惑がかかる。


王子の妃は、これほどの事も出来ないのか・・・と。

ラルフの足手まといになるのだけはいや・・・

しかし、自分の力不足から言われている事なだけに、何も言い返すことが出来ない。