偽りの結婚(番外編)




「シェイリーン様も、ほら。」

「えっ・・・?」

一人の男に、手を取られ、無理やりソファーから立たされる。


「俺と踊ってくれますよね?」

断られるのを知らない、男の聞き方。


「私・・・ダンスはあまり上手じゃないんです。」

ぐいぐいと腕を引かれ、フロアの中心に向かう男。

周りの男たちも、嫌らしい笑みを浮かべ、冷やかす。




「大丈夫、俺がリードするんで。」

ニッコリと、まるで空気を読まない男は気にした様子もない。



「け、けど、私にはラルフがいますし・・・。」

最後の手段だと思い、ラルフの名前を出すが・・・



「ラルフ王子なら、別の人と踊ってますよ?」



ドキッ――――

心臓が嫌な音を立てる。

男が向ける視線の先を見ると、確かにラルフは他の女性と踊っていた。

けれど、シェイリーンはほっと安堵する。