偽りの結婚(番外編)




耐えきれずに声に出したのが悪かったのか、涙目で睨む愛しい妻。

全く効かないが…




「さっきのことは僕の胸にしまっとくよ。」


笑いながらそう言うと、緊張の糸が解けた様に肩の力を抜くシェイリーン。

眉を下げ、どっと疲れた様子だ。




「お願いします……」


しゅんと項垂れるシェイリーンが小さな声でそう言う。

やはり先ほどの言葉は夢うつつの中で言ったのだろう。

夢でも自分を求めてくれたことは嬉しいが、現実はこの状態。

妊婦であるシェイリーンも初めての出産で不安だろうから、本気でしたいとは思っていないだろう。




「大丈夫、手は出さないよ。」


そういうと、シェイリーンは一瞬軽く目を開き、次の瞬間には眉尻を下げて笑う。




「そうよね。こんな私じゃそんな気もおきないわよね。」

「こんな…とは?」


その表情と言葉が引っ掛かって問いただす。




「ずっとマタニティードレスだし、お化粧もしてないし、お腹もこんなに出てるし…」


そう言って困ったように笑うシェイリーン。

お腹が大きくなってマタニティードレスなのは仕方がない。

ましてや化粧をしていようがしていないかは関係のないことだ。

シェイリーンだからこそ愛おしく思うのだから。