偽りの結婚(番外編)




「だいて…くれないの……?」



ピシッ……――――――

シェイリーンの口から出た言葉に、思考回路と動作が止まった。




今シェイリーンは何と言った?

抱いて?

あのシェイリーンが?



いや、ありえない……

今日は酒も飲んでいないし、熱があるわけでもない。

寝ぼけていたとしても、抱いてなどと口にしたことはなかった。



なぜこんなこと…とブツブツ呟いていれば、だんだんとシェイリーンの瞳が冴えてくる。

やっと視点が定まってきた様子で、何度か瞬きをする。

そして、パッチリと開いたエメラルドグリーンの瞳と目線が合った。




「え?ラルフ?………ッ~~~!!!」


名を呼ばれ、回された自分の腕を見て数秒後、ことの事態を把握するシェイリーン。

きっと寝ぼけていた間の自分の行動と言葉を思い出したのだろう。

一瞬のうちに頬を染め上げ、パッと手を離した。



「あああ、あのっ!わたし……そ、そうではなくて……あの…」


離した手で壁を作るように前にかざし、うつむいて先ほどの言い訳をしようとしているが、上手く言葉が紡げない様子。

そんな可愛い妻に思わずククッと声が漏れる。