偽りの結婚(番外編)




「ありがとう。」


口に出して言いたくて、眠っているシェイリーンの額に口づけながら呟く。




健康で生まれてくれればそれでいい。

医者が危惧していたお腹の大きさは気になるが、本人は辛そうな様子もないし…

シェイリーンの言うとおりこの王宮にいる限り大丈夫なのだろうか。



まだ不安は拭えなかったが、今はそんなことを考えている時ではない。

ソファーからベッドへ移動させなくては…





「シェイリーン。」


そっと呼びかける。

このまま抱き上げて移動させれば済むことだが、それも躊躇われた。

触れてしまえば壊れてしまいそうで。

できるなら、起きてくれればいいのだが…




「シェイリーン。」

「んっ………」



まだ眠りが浅かったからだろうか、シェイリーンは小さく声を上げて身じろぎする。

起こすのはかわいそうだったが、ここで寝させるよりはましだろう。




「シェイリーン、起きて。ベッドに行こう。」


囁きかけるようにそう言うと、うっすらと開く瞳。





「ラル…フ……?」


トロンとまどろむエメラルドグリーンの瞳が自分を見上げる。