偽りの結婚(番外編)




「ラ、ラルフ…いつの間にそこに?」


バクバクと心臓が破裂しそうなほど鼓動を打つ。

先ほどの一人百面相をしていたところを見られていたかと思うと、恥ずかしくてたまらない。





「今帰ってきたばかりだが、部屋に入っても気づかなかったから呼んだんだ。」

「そ、そうなの。ごめんなさいね。」


私…口に出してなかったわよね……

ヒヤリとしながらも、ラルフの口ぶりでは気づかれてなさそうだということが窺えた。




「今日もお仕事お疲れ様。お風呂入るでしょう?用意しておいたわ。」

「ありがとう。入ってくるよ。」


蕩ける様な笑みで、額に触れるだけのキスを残して浴室に向かうラルフ。

残った額の熱に少し寂しさを覚えたのは、やはり満たされていないからだろうか。

再びソファーに座り、考えこむ。



何故ラルフは私に触れてこないんだろう。

色気のないこの体型のせい?

それとも私の身体を気遣ってくれているのかしら?

男の人はそんなに我慢できるのだろうか。

アリアの話では、外で欲を晴らしてくる男の人もいるそうだけど。




それは嫌だな………


どこか胸のもやもやを残しつつ、今日一日の疲れを癒すようにソファーに身体を沈ませた。