偽りの結婚(番外編)




クス……こうしているといつもと逆だわ。

大人しく腕の中におさまるラルフを見てクスリと笑う。

たまにはこういうのも良いかもしれない。

ラルフはいつもこんな風に私を抱きしめてくれていた。

目の前の存在がとても愛おしくて。

包み込むように抱きしめると、二人の体温が溶け合って行く。

それが、とても心地いい。






「私はずっとここにいます。貴方が必要としてくれる限りずっと。」


そう言うと、身動きしていたラルフの身体がピタリと止まった。

そして、力が抜けた様に私の肩口に頭をのせるラルフ。

ゆっくりと伸びた手が背中に回る。




「不思議だ……こうしていると、さっきまで不安だった心が嘘のように晴れていく。」


低く呟かれた息が首筋にかかってくすぐったい。




「やはり僕には君でなければだめらしい。」

「私もです……」


答えた拍子に、ギュッと抱きしめる力が強くなった。





お互いを欲して。

お互いがなくてはならない存在。

何にも代えがたい存在をただ強く抱きしめた。