偽りの結婚(番外編)




「喜んでくれるの?」


ラルフの手にもう一方の手を重ねてキュッと握る。

しかし、ラルフは私の不安を和らげるような笑顔を向けて答えた。




「当たり前だろう。君と僕の子供だぞ?喜ばないわけがない。」


額に口づけ、そのまま額と額をくっつける。

その表情と言葉は、とても偽っているようには見えない。

ううん…この国の世継ぎが出来たから喜んでいるのかもしれない。

必要なのはこの子で、私はもう…

その不安は言葉となって出てきた。




「まだ私の事好きでいてくれるって思っていいの?」


ラルフは一瞬目を丸くし、次に困った様な笑みを浮かべて口を開いた。




「さっきも言ったが君は誤解している。僕はこれまでもこれからも君一人だけだ。」

「じゃぁ何故夜遅く帰って来る理由を隠したの?それに香水も……」


ラルフの言葉は信じたいし、そうであって欲しい。

けれど、これを説明してもらわない限り不安は拭えないままだった。

すると、ラルフは仕方ない…と呟き、ベッドの下から箱を取り出す。





「それはこれの為だ。」


縦横50センチはある箱はランカスター王家の紋章が入った立派なもの。

それをラルフがゆっくりと開けば……



「王冠とティアラ……?」


深紅の布の上に置かれていたのは、王族にだけ許される王冠とティアラがあった。