偽りの結婚(番外編)




どんな時も優しくて。

どんな時も私の傍に居て微笑みかけてくれた。

あの優しい微笑みが、他の人に向くなんて…

想像しただけでズキッと胸が痛んだ。



けれど……

妻を持つ男性が浮気をするのは一過性のものだと言っていた。

ただ妻以外の女性と遊びたくて交わす一夜の関係。

ラルフがまた戻って来てくれるならそれでいい。

また私を好きになってくれるのを待てばいいの…

それしかないと分かっているのに…




「少し時間を下さい……」


フイッ…とラルフの視線から逃げるように顔を逸らし、肩に置いてあった手からスルリと抜け出す。




瞬間…――――――

「シェイリーンッ!!」


ハッと息を飲んだラルフが、瞬く間に私の手首を掴む。

手首を掴む力は加減が効かないのか、とても強かった。




「いやッ!離して。」


振り切れるはずないと分かっていても、叫ぶ。





けれど……


「離さない。」


グッと手首を握る手が強くなった。