偽りの結婚(番外編)




途端、香水の匂いが強く香る。

呼吸をする度に、肺いっぱいにその甘ったるい匂いが充満した。

その匂いに、胸のもやもやが一気に増すけれど、今はそれを気にする暇もなかった。




「誤解?じゃぁ帰りが遅いのは何故?服から残り香が香るのは何故?……私に触れないのは何故?」


一気にまくし立て、肩で息をする。

この一カ月間溜めこんでいたものが全て言葉にして出た。

言いわけでもいいから。

お願い…否定して……

無意識にいつしか消えた所有印の痕を辿る。

けれどラルフは罰の悪そうな顔をしながら口を開いた。





「それは………」


煮え切らないラルフの返事。





ズキッ……――――

それじゃまるで肯定している様なものじゃない。

やっぱり私には言えない事なの?

やっぱり…他に好きな人が出来たの?




サロンで会う令嬢たちは、男は浮気する生き物だと言っていた。

同じ女性と長くいると飽きるのよ…って。

だから新鮮な気持ちを味わいたくて、他の女性の所に行くらしい。




ラルフから愛されている自覚はあったのに…