偽りの結婚(番外編)




けれど視線の先には、思った通りの人が立っていた。

パーティーに招かれたからか、ちゃんとした正装を纏っていて。

凛々しく風格ただよう佇まいは、いかにも王族である事を物語っていた。





「ラルフ……」


ポツリと名を呼ぶ。

昨日の夜にも顔を合わせているというのに、とても久しぶりに会う様な気がする。



「今帰った。」


そう言って微笑むラルフを見ると、今までのもやもやが嘘のようにスッと胸が晴れる。







けど……――――



「早かったのね。パーティーは夜までじゃなかったの?」


エントランスのラルフに向けて問う。

すると、ラルフは階段を上りながら口を開く。




「ダンスが始まる前に抜け出してきた。」

「大丈夫だったの?」

「あぁ、ロイドを置いて来た。」


私のいる二階に歩いてくるラルフ。




「シェイリーンこそ何をしていたんだ?今日は何もなかったから書庫だと思っていたが。」

「今日は…ちょっと体調が悪くて寝ていたの。」


ラルフには何故か言いにくくて、ただ体調が悪いとだけ言った。