偽りの結婚(番外編)




「ディランも君と一緒に行きたいみたいだ。」

「ディラン、行きたいの?」


狼に人間の言葉が分かるわけがないのだが、シェイリーンはディランに問いかける。



すると…―――

クーン……

ディランはまるでシェイリーンの言葉を理解したかのように応えた。




「そう……」


その答えに、微笑むシェイリーン。



「決まりだな。」

「ありがとう、ラルフ。」

「喜んでもらえてうれしいよ。」


礼を言われるまでもない。

僕はただ君の笑顔が見れただけで良いのだから。




「さぁ…王宮へ帰ろう。父上と母上が待っている。」

「えぇ、そうね。」


時刻は既に夕刻―――

夜は父と母がシェイリーンの誕生日を祝いたいと言って、王宮で待っている。

料理長が腕を振るった料理と、侍女たちが作った大きなケーキも迎えてくれるだろう。

シェイリーンが見たらきっと驚くだろうな。


そんなことを考えながら、馬車に乗る。

そして、ディランが後からついて来られる様、ゆっくりと馬車を走らせながら王宮へ帰った。