偽りの結婚(番外編)




「おいで。」


そう言って、シェイリーンに微笑みかければ、シェイリーンはやっと手を取った。

その小さな手を握り、ゆっくりと馬車の外へ誘う。




「ラルフ、新しい家族って……」


シェイリーンは疑問の言葉を口にしながら馬車を降りる。

それも無理ない。

こんな場所で、新しい家族を迎えると言われて疑問に思わないはずがない。

だが、ここに家族となるべきものがいるのだ。




「出ておいで。」


森に向かって、そう声をかける。



すると―――――

ガサッと草をかき分ける音を立てながら現れたもの…

それは、見事な程の銀色の毛並とブルーアイを持った狼。

隣で息を飲む音が聞こえ…




「ディランッ!」


その狼の名を呼べば、嬉しそうに寄って来るディラン。

クーンと鳴きながら尻尾を振ってシェイリーンに擦り寄る様は、本当に狼なのかと疑いたくなるほどだ。