偽りの結婚(番外編)




ガタッ…ゴトッ…―――


道の小石に乗り上げ跳ねる音。

馬車の中は、先程ノルマン家を出た時と同じように静寂していた。



しかし、異なるのはその状況。

先程は、ノルマン家の子息に嫉妬した自分がだんまりを決め込んでいたが…

今は、シェイリーンの方が無言で窓の外を見ている。



その横顔は憂いを帯びていて――



「シェイリーン、すまなかった。」


どうしてもその表情を見ていられなくて、声をかけた。

すると、シェイリーンは驚いた表情をしてこちらを見る。



「どうしたの?いきなり…」


目を丸くして、そう言うシェイリーン。

その表情に、こちらの方が一層辛くなる。




「僕は君に謝らなければいけない。君に相談もなしにあんな事をしてしまった事を…」


そう……今日、シェイリーンとスターン家の縁を切らせた。

それをけしかけたのは、まぎれもなく自分。

シェイリーンの顔色を曇らせると分かっていても、今日がそのタイミングだったのだ。