偽りの結婚(番外編)




矢継ぎ早に話すラルフに、ミランダとイリアはただ茫然と聞いているだけだった。


「今までの様に、貴方達が望むものなら何でもご用意致しましょう。その代わり、ハロルド氏の遺産はこちらでお預かりします。」

「ッ………!」

「貴方達に売り飛ばされては困りますからね。」


父親の話が出てくるとは思わなかったため驚く。

まさかラルフがそんなことを考えていたなんて思いもしなかった。

父ハロルドの遺産は全て、このスターン家の主ミランダに相続され…

私の手元に残ったものは何一つなかった。

もう諦めていたのに……



「もちろん、遺産相当分の資金援助は致しましょう。」


どんどん進んで行く話。



「シェイリーン、君はどうだい?」

「え……」


不意にラルフに振られ、言葉に詰まる。



「わたしは……。お継母様たちはどうなんですか?」

そんなの決まってる…

自らの出身の家との縁を断つなんて、そうそう出来るものではない。

特に私にとってはスターン家こそが思い出の地。

唯一の肉親であった父との思い出が詰まった家でもあるのだから。