偽りの結婚(番外編)




そこでやっとラルフという存在を再認識したように、慌てて笑顔で取り繕う。



「い、いいえ。けれど随分と久しいと思いまして。」


ミランダは角が立たない言い方をする。




「私達はいつでも遊びに来て貰って構わなかったのですよ?」


私を突き放した時とは思えないような言葉。



「そうよ、大事な妹ですもの。実家に寄りつかないのは、貴方達の方が避けていたんではなくて?」


次いでそう言ったのはイリア。

“大事な妹”

いくら私でもそれが嘘だという事は分かった。



ズキッ――――

気のない言葉は、見えない暴力となって胸を抉る。

確かに私はスターン家を避けていた。

あの時の様に突き放されて、取り合ってくれないのは目に見えていたから。

ここは素直に“避けていた”と答えるべきなの?

けれど、そうするとまた誤解を生みそうで怖い。

キュッ…とドレスの端を掴み、何と答えるか迷いあぐねていれば…




「そうですね、シェイリーンを貴方達のもとへ近付かせたくありませんでしたから。」

「ッ………!」


代わりに応えたのはラルフだった。

ラルフ口にした言葉に、驚いたのは私だけではないだろう。