偽りの結婚(番外編)




外の景色を見なくても、もう、ここが何処か分かっていた。

だからか…なかなかラルフの手を取る事が出来なかった。



しかし――――




「おいで、シェイリーン。」


優しく促すような声に導かれる様に、手を取る。

そして、ゆっくりと馬車の外へ踏み出した。




すると――――


やっぱり………

そこには、自分が見慣れた屋敷とはかけ離れた、立派な屋敷がそびえたっている。

私がここにいた頃は、もっと古い屋敷で、庭だって荒れ放題だったのに…

目の前の屋敷は大きく。

庭も屋敷の外装も、とても立派。

どこからどう見ても由緒ある貴族の屋敷だった。



この屋敷は、スターン家の屋敷。

もう、約1年帰っていない我が家だ。




「ラルフ…あの……」


馬車を降りた場所でまごつく。

それに気付いたラルフは…




「大丈夫、君が心配する事は何もない。」

そう言って微笑むラルフに、少し心は軽くなるも、未だ不安は拭えない。