偽りの結婚(番外編)




それにしても……


怒っている様子ではないラルフに安心しつつ、再び外を見る。



この道、見覚えがあるような……



王宮から城下へ下る道とは比べようもないくらいに狭く。

緩やかなカーブが多い道。

両脇に高くそびえる木々が立ち並ぶ森を抜けると、視界がひらける。

そして、目に入って来たのは小さな泉。




「ッ………!」



もしかして……

馬車の向う先が、なんとなく分かった気がする。

ふと、外の景色からラルフの方へ向けば…

どうした?とでも言いたげな笑みを浮かべる。




「ラルフ、この馬車もしかして……」


言いかけたところで、馬の鳴き声と共に馬車が止まる。



「着いたようだね。」


そう言って、ラルフが馬車の外へ踏み出す。




カチャ――――

先に馬車を降りたラルフは、外から手を差し出す。

無言で差し出された手は、有無を言わせず、ただこちらに向けられる。